創作畑の皆さんお久しぶりです!
この度、unityroom様とUnity様の共同企画で開催中(5/9現在)の、Probuilderゲームジャムにて、新作ゲームの「真・家具クライマー」を制作しました。
unityroomのProbuilder Gamejam参加作品として、「真・家具クライマー」を公開しました。今回はちゃんと家具をクライムします!真面目にやるとイライラがマッハなので徳を積みたい方のみプレイしてみてください。 https://t.co/QCBIosAuuy #pbjam pic.twitter.com/gDbLUI26AU
— ガンジー (@gunzee2) May 7, 2018
僕は去年一部で爆発的にヒットした「Getting Over It with Bennett Foddy」(通称壺おじさん)を100時間100周以上プレイするぐらい大好きなので、そのへんのリスペクトを含めて、知ってる人が見たらニヤッと、そしてイライラしてくれるような出オチゲームを作ろうと、今回制作をしました。
そんなわけで、久々に参加したゲームジャムですが、いつもやっている制作の振り返りをしたいと思います。総製作期間は約3日です。
一日目:製作開始(5/4)
ゴールデンウィークエンジョイ体制に入っていた5/4、たまたま下記のツイートを目にしました。
ProBuilderゲームジャム in unityroom 開催のお知らせ! 条件を満たしたゲームを投稿すれば、Unite Tokyo会場内のunityroomブースにてプレイアブル展示します! #unitetokyo2018 https://t.co/hxNmyYljak pic.twitter.com/qhKfKLlswS
— ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン@5/7~9 Unite Tokyo 2018 (@unity_japan) May 2, 2018
「おっ!Uniteに自分のゲームを(間接的にでも)展示できるのか!」ということで、一年間たるんでいた自分に喝を入れるべく作業を開始しました。
アイデア出し
まずはProBuilderゲームジャムなので、ProBuilderの機能がゲームのコア要素に深く関わっている事が望ましいだろうということで、プラットフォーマーゲームかなと考え始めました。
そこで、ずっと自分の頭にあった、「本物の家具クライマーを作ろう!」という作戦を実行することにしました。
これは、一年前に自分が制作した「家具クライマー」の名前を考える時に「家具ジャンパー?家具ホッパーかな?」とか色々考えた末、なんとなくクライマーが心に引っかかったのでクライマーにしたという経緯がありました。(多分アイスクライマーの影響)
ですが、これまでずっと自分の頭の中では、
「(これ、クライムしてないよね…上を跳ねてるだけじゃん…絶対皆そう思ってる…僕がクライムの意味もわからない様な奴だと思ってるに違いない…やだ恥ずかしい…)」
という疑心暗鬼に駆られていて、
「いつか本当に家具を登る家具クライマーを作って、失われた名誉を取り戻すぞ!」
とそのチャンスを虎視眈々と狙っていました。
そこで今回のProBuilderゲームジャム、ProBuilderはプラットフォーマーを作るのにピッタリ!レベルデザインのみならず簡易的なモデリングまでできちゃう!このチャンスを逃す手はない!渡りに船とはまさにこのことでした。
ということでアイデアは大体すぐ決まりました。
ゲームの方向性
そんな感じで、「家具クライマーのシステムでプラットフォーマーを作る」というアイデアで制作を始めたのですが、このゲームの方向性を決める上で、自分が去年から今年の頭にかけてかなり遊んだ「壺おじさん」をオマージュしたら、知ってる人が会場でこのゲームを見た時にふふっと笑ってくれるかな、笑わせたいな!という気持ちが湧いてきたので、「システムはパクらない!でもなんとなく雰囲気を感じてもらう!」と激ムズゲームにする志を新たにしました。
まずはProBuilderのお勉強から
ProBuilder自体は有料アセットの頃に一度使ったことがあったのですが、知らないことも多かったのでチュートリアル動画を見ながら実際に手を動かして勉強しました。とてもわかり易くて参考になりましたので、まだ見てない方はオススメです。
この学習に約2時間かかりました。
制作スタート
この時点で、
- ステージクリアの存在するオーソドックスなプラットフォーマーにする
- 左クリック長押し→離すと右上に飛ぶ
- 重心移動でジャンプの方向を制御できる
- 家具の側面に張り付いてもジャンプできる(→三角跳びの要領でどんどん飛べる)
というゲームシステムは大体イメージできていました。これを他人に喋りながら書いた図が以下になります。
なるほどわからん。
とりあえず壁に激突したら更に飛べるということを言いたかったようです。
ということでこのゲームのコア要素はキャラクターの移動処理だと感じたので、そこから作り始めることにしました。
一応元となる家具クライマーのコードは参考にはしましたが、正直かなり雑な作りなのでプレハブをそのまま流用とかは出来ないため、ほぼフルスクラッチで書き直してます。
まずはクリックの強弱でジャンプ力が可変する仕組みを作って、
体を回転させる仕組みを作れば、とりあえずコアな部分は完成。
その後スマホ版の家具クライマーのコードからジャンプの軌跡を表示する仕組みを持ってきました。
ここまでで約9時間を費やし、本日の営業は終了となりました。
2日目:モデリング(5/5)
いよいよProBuilder要素を入れていこうということで、家具のモデリングをはじめました。
最初に作り始めたのはコートハンガー。壺おじさんの冒頭に出てくる木をオマージュしたら面白いのではないかということでかなり意識してます。
カラーリングをして帽子をかけたらコートハンガー。
トラブル:Constraintsで回転軸をロックしているのに回転する
キャラクターをAddTorqueで回転させる時、ConstraintsのFreeze RotationのXとYにチェックを入れているのに、Z軸以外も微妙に回転している事に気づきました。こうなると真横に体が倒れないので、当たり判定がすり抜けてしまったりモデルが意図しない方向に傾いたりしてしまう可能性がありマズいです。
原因を色々検証した所(ここから推測)、オブジェクトの重心がコライダーの位置によって変わるため、顔用コライダーと体用コライダーのZ軸がズレていると、回転方向もズレてしまい、たとえConstraintsで軸をフリーズしていたとしても回ってしまうという感じでした。
トラブル:Oculus Go 急に届く!
Oculus Go、玄関みたら届いてました。お騒がせしました。単純に表記の問題だったみたいですね。僕の場合はゆうパック配送でした。 pic.twitter.com/XEomy6ws30
— ガンジー (@gunzee2) May 5, 2018
ここで急遽注文していたOculus Goが香港から届くというサプライズが発生。
届いて動作確認もせず制作に戻るという心の強さは持ち合わせてないガンジー選手、1時間強の足止めです。
Oculus Goはとても素晴らしいプロダクトで、気軽につけ外しできる入門用VRHMDとしてかなりオススメです。ただし注文の際は住所氏名などローマ字で書くことをオススメします。(僕も 六本木 的な地名が○moriという記載で届きました)
その後は黙々とモデリング作業
もっとOculus Goを触りたいという気持ちを抑えつつモデリングを続行。
椅子やテーブル
ランプや
冷蔵庫(自信作)などを作りました。
気づけば8時間弱経過していて、疲れたのでこの日の営業は終了しました。
3日目:レベルデザイン、完成
レベルデザイン開始
2日目までは制作の過程を動画に撮っていたのですが、3日目は撮ってなかったので、正直書くことがあまりありません!
とりあえず作ったモデルを適当に配置しつつ試行錯誤したのですが、最初にコートハンガーを置く以外のアイデアがまとまりませんでした。
最初は家の中に居て、途中から外に飛び出す…とか色々考えてみたりはしましたが、あまりうまく作れる気がしなかったので、いっそのこと壺おじさんの最初のチュートリアル部分だけ似せてチュートリアルを兼ねつつ、分かる人にはわかる感を演出しようということで、方向性が固まりました。
出オチです。 ※ハッシュタグ間違っていたので再投稿 #pbjam pic.twitter.com/37KO5ungKP
— ガンジー (@gunzee2) May 6, 2018
その成果がこんな感じです。参考にすればするほど、壺おじさんのレベルデザインの秀逸さが身にしみてわかりました。
このままだったらタダのパクリになってしまうので、チュートリアル部分(大きな岩)を超えたらオリジナルなステージに進むようにしようとステージ制作を始めたのですが、この日のうちに完成させるつもりで時間も差し迫っていたので、小さいオブジェクトをゴチャゴチャ配置するよりも、オブジェクトそのものを大きくして配置していこうと方向転換しました。
あとは壺おじさんリスペクト的には、ミスをしたら戻されるような仕組みを用意したかったので、縦方向にオブジェクトを配置することを意識しました。
その結果、まっすぐ立っている時は右方向に移動するゲームなのに、左に移動しなければならない場面が頻出してしまいました。これは今回の反省点です。やはりこの操作系なら、右方向にどんどん飛んでいったほうが気持ちよく操作できると思うのですよね。左はちょこっと体を傾けたりしなきゃいけないので。
タイトル画面、演出などを追加
困難なゲームなので、クリアした際には相応のご褒美があってしかるべきだろうということで、一通りステージを作った後は、エンディング演出を作りました。
正直ご褒美と言えるほどちゃんとしたものではありませんが、もし喜んでもらえたら幸いです。
タイトル画面も壺おじさんを全面的にイメージしたものにしようということで、あんな感じのデザインにしました。壺おじさん無しでは完成は危うかったですね。サンキュー壺おじ!
完成!
unityroomのProbuilder Gamejam参加作品として、「真・家具クライマー」を公開しました。今回はちゃんと家具をクライムします!真面目にやるとイライラがマッハなので徳を積みたい方のみプレイしてみてください。 https://t.co/QCBIosAuuy #pbjam pic.twitter.com/gDbLUI26AU
— ガンジー (@gunzee2) May 7, 2018
何時間かかったかわかりませんが、ダラダラ作業してなんとかUnite開演までに仕上げました。
最終日は結構疲れていたのでレベルデザインが雑で、体が埋まったりしてしまうこともあるかもしれませんが、賞味3日で作ったものなのでそのへんは何卒ご容赦いただけたらと思います。
難易度が高い件につきましては、壺おじさんが悪い!ということで責任転嫁していきたいと思っております。操作性が悪くて難易度が高くなければ壺おじさんリスペクトじゃない!という方向性で作りました。
僕のお友達も何人かプレイしてくれて、実際にプレイの様子を拝見する機会もあったのですが、イライラだけは本家を超えると評判なので、作った甲斐はあった、特定少数の心に爪痕は残すことが出来たと胸を撫で下ろしております。
そのプレイを見て、あまりにもひどいと思った部分だけこっそり修正しました。この手心によって何人かのプレーヤーが高みに辿り着いてくれる事を期待したいです。(テストプレイヤー大事)
難易度はほんの少しだけ簡単にしましたが、操作性はほとんど変わってないのでイライラ度据え置きです。主な変更は背景の変更と、空中でクリック長押ししたままオブジェクトに触れた時チャージが0から始まらない(空中での長押し時間がチャージに反映されてしまう)問題の修正です。 pic.twitter.com/vZ6UWt1PTW
— ガンジー (@gunzee2) May 7, 2018
最後に
スマホ版の家具クライマーを公開してから、新作を作ろうと試行錯誤したり、1週間ゲームジャムの作品を作ろうと、イベントの度に手を付けてみてはいたのですが中々形にならず、新作は約一年ぶりになってしまいました。(旧家具クライマーの方もアップデートのために作業してはいたのですが、色々と行き詰まってしまい、楽しみにしてくれていた方はごめんなさい!)
作業を通して感じたのは、「僕のような凡人が限られた日数の中、ユニークなゲームシステム、完璧なレベルデザイン、素晴らしいグラフィックなどを作り上げることは不可能なので、ゲームジャムは雑でも未完成でも良いんだ!」という至極当然な事でした。
人に遊んでもらえるゲームを作ったのは昨年の家具クライマーが初めてで、色々な方からお褒めの言葉を頂き、「次はもっと良いものを作るぞ!」という気持ちが空回りしていた部分があり、色々と闇に葬られたゲームの残骸があるのですが、今後はもうちょっと気楽に創作物を公開していきたいです。
今、他に作っているゲームもあるのですが、近い内にその辺もお見せできたらいいな!ゲームジャムの開催ありがとうございました!また機会があったらお会いしましょう!